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#角質ケア

NMF、角質細胞間脂質、皮脂という3つの保湿成分を減らさない5つの角質ケア

お肌の構造とターンオーバー

表皮は4層に分かれていて、一番下の基底層で分裂した細胞が有棘層、顆粒層と徐々に上に移動しながら栄養分や水分を吐き出し、最後は角質層に至ります。
角質は細胞核までなくなった死細胞で、このサイクルがターンオーバーと呼ばれる新陳代謝です。

お肌の一番外側が表皮で、その下に真皮、皮下組織があります。
表皮は、角質層、顆粒層、有棘層、基底層という4層に分かれています。
つまり、角質とは皮膚の一番外側を覆っている組織であり、人間の皮膚表面は角質が重なった角質層でできています。

表皮の一番下の基底層にある表皮細胞が分裂することで古い細胞は徐々に押し上げられ、栄養分や水分が吐き出され、最後には細胞核のない死細胞の角質に変化して剥がれていきます。
これがターンオーバーと呼ばれる新陳代謝で、10代〜20代なら約28日のサイクルで進んでいます。
一番外側の角質は細胞核が抜けて死んだ細胞なのですが、この角質がスムーズに剥がれ落ちずに過剰に溜まっていくと、お肌がくすんだりしてしまいます。
顔が灰色にくすんでいる人は新陳代謝が低下して不要な角質が溜まっているのかもしれません。さらにその状態が続くと、ニキビや過乾燥に発展してしまうこともあります。

お肌のトラブルに発展しないよう、ターンオーバーのサイクルを正常に保つためには、保湿と水分補給に気をつかってスキンケアしましょう。
特に入浴や洗顔後すぐに保湿ケアするのが大切で、角質層が担っているバリア機能や保湿機能を守り、つっぱり防止につながります。

角質が担っている2つの機能

●バリア機能

人間が生きられる環境は細菌にとっても快適な環境で、生きている細菌によってお肌は常に攻撃されています。
また、紫外線や熱線など日射しの刺激や、異物の侵入にもさらされています。そんな刺激からお肌を守っているのが、一番外側の角質層であり、角質がもつバリア機能です。

●保湿機能

角質層のバリア機能を保つために必要なのが水分で、最低限20%以上、できれば40%〜50%の水分量が理想ですが、日本人の平均は30〜40%ぐらいで10%ほど理想より少ない水分量です。

なぜ保湿機能が重要かというと、角質は乾燥しているとカサカサになって能力が低下してしまうためで、空気が乾燥していると皮膚から水分が奪われてしまいます。
角質が自らの保湿機能が損なわれれば、空気の湿度から影響を受けやすくなります。

保湿機能が損なわれないように守っているのが、「NMF」「角質細胞間脂質」「皮脂」という3つの成分で、これらのバランスが大切です。
これら3つの要素が適切なバランスで保たれていると、角質のバリア機能が正常に働き、さまざまなお肌トラブルを防ぐことができます。
同時に、正常な角質層がお肌のなめらかさや柔軟性を保ってくれます。

ところで、保湿能力と聞くと「ヒアルロン酸」を連想する人がいると思いますが、体内でヒアルロン酸が存在する場所は角質層が含まれる表皮ではなく、その下にある真皮です。
また、お肌は異物が体内に侵入しないようにブロックする機能があり、表皮は分子量3000以上の物質をブロックするようになっていて、分子量が100万以上といわれるヒアルロン酸は経皮吸収されません。
ヒアルロン酸は注射しないと効果がないと言われる理由はここにありますが、ヒアルロン酸は吸収されなくとも皮脂とともに表面になじみ、肌の潤いを保つ保湿効果があります。
適量のヒアルロン酸なら塗るタイプの化粧品でも意味があります。

●敏感肌と角質の関係

肌や身体にとって重要な役割を果たしている角質層ですが、角質層の水分量が低下すると角質細胞の間に隙間ができ、水分を失いやすくなったり、外的刺激によって悪い影響が出やすくなったりします。
そういった、バリア機能が弱くなった状態が「敏感肌」です。
敏感肌になるとちょっとした刺激にも反応してしまい、さまざまなお肌トラブルを招いてしまいます。

ところで、資生堂による調査では、1980年代には20%程度だった「敏感」「やや敏感」と自覚している人が2000年代には70%を超えるほどに増加していますが、一方で34.9%の皮膚科医が「私は敏感肌」という消費者の自己認識は、ただの思い込みによるものと考えている調査レポートもあります。
では、両者の意識のギャップはいったいどこから来ているのでしょうか?

もしかするとこのギャップの正体とは、皮膚科医の先生方がお考えの敏感肌の人が本当に体質からきているもので、残りの人は、食事やスキンケアのやり方を含む生活習慣から起きているもの、つまり後天的に敏感になってしまっている状態という疑いがあります。
もしもそうだとすると、気をつけるべきポイントをしっかり押さえて洗顔し、失われた皮脂を補うスキンケアもしっかりやれば改善でき、「私は敏感肌かも?」という心配を減らせるのではないかと思います。

●角質ケアで角栓も防ぐ

角栓とは、字のごとく角質によって毛穴に栓がされてしまった状態で、不要になった角質が剥がれずに毛穴に溜まっていくことが積み重なってできます。
この状態が進行すると目立つようになり、表面が酸化して黒くなってしまいます。鼻、あご、眉間など皮脂の分泌が多い部位にできやすいものです。

角栓が大きく黒くなってしまってから無理矢理抜き取るよりも、角質が毛穴に蓄積しないよう正しい角質ケアの習慣を身につければ予防できます。
また、できてしまった角栓も毎日ケアすれば、硬く黒くなっていくのを防いで目立たなくすることができます。

角質ケアと3つの成分

●角質層の水分を保つことが大切

ターンオーバーのサイクルによって栄養分や水分が吐き出された死細胞である角質に残っている主な成分は「ケラチン」です。
ケラチンには、水を含むと柔らかく弾力が増すという性質があります。
この性質によって、しっかり保湿されたお肌にはハリ、弾力、表面のなめらかさが感じられるのです。

逆に、乾燥して水分量が不足すると硬くなり、ターンオーバーのサイクルも乱れていきます。
ターンオーバーが乱れると古い角質が剥がれ落ちずに蓄積して、くすみ、角栓、肘・肘・かかとのゴワゴワの原因になります。
しっかり保湿して角質層の水分を保つことが角質ケアのポイントです。

●天然保湿因子は不足していない?

「天然保湿因子(NMF=Natural Moisturizing Factor)」とは、角質細胞の中で作られる天然の保湿剤で、遊離アミノ酸、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸などが主成分です。
NFMは水の分子と結合しやすいのですが、水と結合すると蒸発しにくい「結合水」という状態になります。
この結合水が、水分によってハリや弾力を保つケラチンと結びつきます。

もともと一定量のNMFが体内でつくられているのですが、ターンオーバーの乱れや加齢、日焼け、睡眠不足、ストレスなどの影響で生成できる量が減ってしまうため、お肌の水分を保てなくなっていきます。
「スキンケアしても、すぐに乾燥する」とか「お肌がゴワゴワする」というときは、NMFが不足しているのかもしれません。
そういうときは、アミノ酸や尿素などのNMFの構成成分が配合された化粧品を試してみるとよいかもしれません。

●角質細胞間脂質は不足していない?

角質細胞同士をつないでいるのが「角質細胞間脂質」です。角質細胞間脂質は、敏感肌用のスキンケアでもおなじみのセラミドや、コレステロール、遊離脂肪酸などの成分でできています。
この細胞間脂質は肌の中の水分を留める役割があり、NMF(天然保湿因子)の力を安定させるためにも役立っている成分です。
角質細胞間脂質は、セラミド等からなる脂質の層と水分子の層が、交互に規則正しく何層も重なりあう「ラメラ構造」という層状構造になっていて、水分子の層に角質層にある8割の水分が蓄えられています。

角質細胞間脂質の約半分を占めるセラミドは加齢によって減少しますが、熱すぎるお湯で洗顔すると減少してしまうので、33〜35度ぐらいの適温にしましょう。
セラミドが不足すると、角質細胞同士の結合が弱くなり、保湿力も低下し、外からの刺激に弱くなってバリア機能も低下してしまいます。
保湿力が低下すれば乾燥しますのでシミ、シワ、たるみにもつながります。

●皮脂は不足していない?


皮脂成分の構成グラフ

皮脂はトリグリセリドが最も多く、次にワックスエステル、スクアレンが続きます。

「皮脂」は表皮の外側に膜を張って、角質を紫外線、細菌、異物から守り、水分の蒸散を抑えてくれています。
分泌された直後の皮脂は、脂肪酸が3分子のトリグリセリドという成分が約60%を占めていて、トリグリセリドは皮膚の常在菌の分解酵素(リパーゼ)によって徐々に加水分解されていき、脂肪酸が2分子のジグリセリド、脂肪酸が1分子のモノグリセリドを経てグリセリンになります。
また、トリグリセリド以外の主成分はワックスエステルが約25%、スクアレンが約12%、コレステロールエステルが約1%、その他が2%ほどというのが平均的な皮脂の成分構成です。

分泌された直後の皮脂成分の成分のうち、構成比率の多いトリグリセリドやワックスエステルを補給することが、洗顔で失われた皮脂成分を補う効果が高いことになります。
それらを多く含むクリーム、乳液、美容液で、洗顔後のスキンケアするのがおすすめです。

古い角質の蓄積を防ぐ5つのケア対策

●日焼け止め対策する

お肌に最もダメージを与える外的要因は紫外線です。強い紫外線を浴びると、お肌が紫外線から体を守ろうとする防御反応により角質が厚くなって蓄積します。
さらに、紫外線は肌の乾きも助長するため、バリア機能が著しく低下してしまうため、水分を保つことができなくなってしまいます。

SPF値の高い日焼け止めを塗ったり、日傘を差したりして紫外線の対策をしましょう。
また、紫外線量は5〜8月がピークですが、それ以外の月もピーク時の半分以上の量が降り注いでいますので、通年でのUV対策が望ましいでしょう。

●角質の保湿成分を補給する

十分な水分を含んだ表皮では、ターンオーバーがスムーズに行われ、古い角質も過剰に蓄積することなく剥がれていきます。
しかし、保湿成分が不足すると保水できなくなり乾燥が進んでしまい、ターンオーバーは乱れ、不要な角質も溜まっていきます。
角質が、たっぷりと保湿できる状態にすることが大切です。

加齢やストレス、間違ったスキンケア習慣により角質の保湿成分は減ってしまいますので、シミ、シワ、たるみ、ゴワつきといったお肌のエイジングサインが気になるようなら、NMFの不足にはアミノ酸や尿素、角質細胞間脂質の不足にはセラミド、皮脂の不足にはトリグリセリド(オレイン酸)やワックスエステルといった角質の保湿成分を補給しましょう。

●摩擦によるお肌の負担を減らす

物理的な摩擦をお肌に与えると、刺激からお肌を守ろうとする働きが活発になって角質肥厚につながります。
洗顔のときに使う泡立てネットで立てた泡は水分量が少なくなる傾向があり、お肌の摩擦負担が増えます。
タオルで顔を拭くときにも擦らないように拭き取りましょう。

●食生活を改善する

ビタミンBやビタミンAが、美肌に不可欠ということはよく知られていますが、これらが不足すると新陳代謝が遅くなってしまうためにターンオーバーのサイクルが乱れて、古い角質が肌表面に留まってしまうことがあります。
緑黄色野菜をたくさん食べるなどの食生活改善がおすすめですが、偏食な人は特に気をつけて、サプリ等での補給も考えましょう。

●古くなった角質をピーリングする

鼻や眉間など、角質が溜まりやすい場所をピーリング剤でやさしく拭き取ることも、やりすぎに注意して週に1〜2回ぐらいなら負担も少なく、お肌の柔らかさ透明感が増します。
ただし、お肌に摩擦は禁物なので、ピーリング剤をつけたコットンは一方方向にやさしく拭き取ってください。

また、お肌への負担が大きいので、剥がすタイプの毛穴パックや、強い洗顔剤、長時間のクレンジング、洗顔ブラシ、冷たい水での洗顔はおすすめしません。

おすすめ化粧品

トリグリセリドを配合した保湿クリーム

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